鳥取県
平井伸治知事
OPリーダーインタビュー
OP組合では、OPをWebサイトに導入した組織・団体のトップを「OPリーダー」と呼ばせていただいています。 このページでは、様々な組織・団体のOPリーダーとOP組合理事長 村井純との対談内容をご紹介します。 第1回「OPリーダーインタビュー」は鳥取県の平井伸治知事です。
鳥取県公式サイト「とりネット」へのOP搭載について
鳥取県は、地方自治体として初めて公式WebサイトにOPを搭載しました。 OPという技術開発への取り組みの背景や今後の展望について、「インターネットサムライ」として知られる Originator Profile技術研究組合(OP組合)の村井純理事長(慶應義塾大学特別特区特任教授) と鳥取県平井伸治知事との対談を通じてご紹介します。
OPはインターネットの「太鼓判」

平井知事:
「村井先生、このたび、鳥取県では、先生が推進されているOriginator Profile(OP)を 通じた『信頼できる情報社会づくり』という理念に賛同し、地方自治体としては初めてOPを 鳥取県公式サイト「とりネット」に搭載いたしました。
村井先生が日頃、おっしゃっている注目キーワード
『OPはインターネットの太鼓判。』はとても興味深いアイデアです。
その意味について、ぜひ教えてください。」

村井 純 OP組合 理事長:
「表情、声色、服装、雰囲気、私たちは様々な情報と経験から直観的に相手を信頼して良いか判断します。 それでも不安なときは、誰かに聞いたり、調べたりするかもしれません。 あるいは、「今すぐには判断しない」こともあるでしょう。 では、インターネットでは、今、相手を信頼するかの判断はどうしているでしょうか?
実は、その判断を手助けする技術が
今のインターネットには欠けています。 一方で、わたしがインターネットに関わってきた中で、大切にしてきたのは、『技術で解決できない問題は、技術で解決しよう』ということです。

そのポリシーに沿って、さまざまな人々、企業や団体の力を借りながら、OP組合が開発したのがOPです。 特に総務省の皆さんにはOPをご支援いただいて、令和6年度から始まった総務省の偽誤情報対策の実証事業にOP組合は参加しています。
ところで、人に何かを伝えるとき、自分は信頼できると示すために、第三者の評価に頼ることがありますね。 それは、本人が「信頼してください」と言うだけでは十分ではないためです。
そこで、社会の中で実績があり、多くの人に認識されてきた人や組織が 「この人は本物です」と『太鼓判』を押すことで、信頼が得られるようになります。 」
この対談記事をご覧になっている方は、 すでにOP確認ツールをご自身のブラウザにインストールされていると思いますが、 このスクリーンショットのように、OP搭載済みのWebサイトにアクセスすると、OPマークが画面右下に表示されます。
具体的な『太鼓判』のイメージがまさに、このOPマークです。
「太鼓判」としてのOPは何をする技術?

平井知事:
「なるほど。『太鼓判』の意味は概ねわかるのですが、 技術的にはどのようなことを実現しているのでしょうか?技術に詳しくない一般市民でもわかるようにお教えいただけますか?」

村井 純 OP組合 理事長:
OPは、インターネットで人々が必要としている信頼性の判断を手助けするための技術です。
先ほどお話ししたように、人に何かを伝えるとき、 自分は信頼できると示すために、第三者の評価に頼ることがあります。OPの仕組みでは、この「社会の中で認識されている第三者」の役割を、 情報空間で実現します。そして重要なのは、このような第三者の主体にOPの仕組みの中にご参加いただくことです。
OP技術の基礎開発は完了しており、鳥取県さんのような自治体や企業団体のサイトにOPが搭載されるとともに、 企業が加盟している業界団体などの第三者団体が、発信者の確認をする役割を担っていただけるようになると、 現実社会の信頼をウェブの情報に重ね、情報の発信に誰が関わり、 実在しているかを伝えることによって、情報の確からしさを示すことができるようになります。
OPは現実社会での信頼評価で第三者が果たしている役割を情報空間にもたらす技術

平井知事:
「たしかに、私も含め、見知らぬ人に自己紹介するとき、 卒業した高校や大学や会社、表彰歴などを語ります。 表彰歴などはまさに第三者の評価でしょうし、 どんな学校で学んだかも、その人を判定する材料の一つになりうるでしょう。 偶然同じ学校であれば、その人になぜか親近感が湧いたりしますね。」

村井 純 OP組合 理事長:
「あるWebページを見て、これ本当かな?と疑問に思ったときに、誰が書いたものかを確認しますよね。 でも、実は、OPがない世界では、Webページに作者が明示されていても、 本当なのかを確かめる技術は現時点ではないのです。
その盲点をついて、社会問題化しているのが『偽サイト』です。 すでに、企業や公共団体、自治体の偽サイトが登場し、詐欺被害に遭う方も出ていますよね。 しかし、OPボタンをクリックすると、 まず、その情報を提供している組織が表示されます。 さらに、見ているサイトがその組織のWebサイトのものであることを、 業界団体などの第三者が確認済み、つまり「太鼓判」されていることも表示されます。
例えば、市民の方が、住宅のリフォーム情報をインターネットで見た際に、 その情報を提供する会社の信頼度を判定するなら、その会社が日本住宅リフォーム産業協会のような業界団体に 所属しているかを確認できれば安心でしょうし、 投資情報なら、その情報を提供している会社が資産運用業協会といった業界団体に所属しているかが わかるとよいでしょう。」
OP普及への展望はいかがですか?

平井知事:
「わたしは、鳥取県内の自治体の首長の皆さんにも、 OPの社会的な価値を伝えて、県内の自治体公式サイトへのOP搭載をサポートしていきたいと思っていますし、 他の都道府県の知事の方たちにも、お勧めしようと考えています。 OPが普及していくシナリオを村井先生はどのようにお考えなのでしょうか?」
OPエコシステムの広がりと社会への貢献について


村井 純 OP組合 理事長:
「わたしは、情報発信者やサービスの提供者の真正性を確認・保証できるOPのエコシステムが、 様々な業界に広がっていくことで、社会全体で情報の信頼性と安全性が向上すると考えています。
例えば、行政、病院などの公的機関、金融・決済、選挙情報、メディアなどのWebサイトにOPが搭載されていくと 生命・健康・安全の確保、経済的損失と詐欺被害の防止、民主主義への寄与、公正な社会の実現など OPの貢献領域が広がっていきます。
また、ポータルサイト、プラットフォームや広告事業者、広告主にもOPが広がっていけば、 信頼性の可視化領域も広がります。そうして、偽・誤情報が入り込みにくいOPのエコシステムができ、ユーザーの安全性が高まります。」
生成AIの問題にもOPは対応できますか?

平井知事:
「近年、青少年の「ディープフェイクポルノ(AI生成の偽画像)」被害や、生成AIの回答による子どもの自殺リスク、 SNS上の誹謗中傷・偽情報拡散など、解決しなければならない問題が顕在化しています。
鳥取県では、これらに対し全国初となる独自の対策や条例整備を進めていますが、 OPは生成AIの社会課題への対応も可能なのでしょうか?」
AIを支えるOPの未来


村井 純 OP組合 理事長:
「人が情報やサービスに直接接する時も、AIが人に代わり情報の収集・分析や手続きをするときも、 情報・サービスの出所と信頼性の確認は欠かせません。ブラウザやAIによる自動化が進むからこそ、 発信者の証明やサービスの使い方を正確にAIに伝えられる技術が重要になります。
OPはウェブ技術と共に、AIによるコンテンツとサービスに対する、より正確な理解を支えることができます。 人を代行するAIが、サイトの信頼性を判断する材料は何でしょうか? 検索や投稿、決済を行うとき、サイトやサービスの信頼性を判断するために、AIがユーザー保護の観点でOPを活用できます。 」

OPは、メールを利用した詐欺被害防止への対応はできますか?

平井知事:
「実は、県庁や市役所の複数の所属において、わたしや鳥取市長の名前を騙る悪質な偽装メールを 受信する事案が確認されていて、困っています。
これは、職場の在席確認やLINEグループへの加入指示の体裁を取っており、 情報詐取や詐欺等のネットワークへの不正アクセスの足掛かりとなり得るもので、悪質な偽装メールです。
また、携帯電話に突然「利用料金未納のお知らせ」といったショートメッセージ(SMS)や 電子メールを送りつけ、記載された連絡先に電話をかけさせて高額な現金を振り込ませようとする手口が多発して 県民が被害に遭っています。 これらの問題への対応もOPは可能なのでしょうか?」
OPによりメールの送信者情報を、確実・簡単に確認可能に


村井 純 OP組合 理事長:
「メーラー・サーバ・ブラウザがOPを使うことで利用者を保護できます。 現在のEメールでは「送信者が本物か」は、簡単にはわかりませんが、OPによりメールの送信者情報を、確実・簡単に確認可能になります。 メールやSMSなどのリンクからページを開くときに、OPが不審な場合は警告を表示し、フィッシング被害を減らすことも 技術的に実現可能なことです。 」

OPはSNSの様々な問題解決にも寄与できます
「SNSのアカウントが本物かどうかが重要な場面でも、情報源の信頼性について判断が難しいのが実態です。 しかし、これもSNS事業者とOPの連携により、真正性の表示にとどまらない活用が可能です。 許認可・免許・認証情報などに基づくOPを使えば、なりすましはできなくなりますし、 リンクを開くときの安全確認、なりすましからの防御、災害時の安全情報優先表示や 近年、社会問題化しているSNS上での有名人の肖像を悪用した広告の安全性確保などにも対応が可能です。」
闇バイトなどの犯罪被害への対策はどうでしょう?

平井知事:
「首都圏などで相次ぐ闇バイト強盗事件を受け、鳥取県内でも若者が実行役として募集に接触するリスクが高まっています。
鳥取県では、高齢者世帯を狙った強盗被害を防ぐため、 防犯カメラやセンサーライトの設置費用を最大1万5,000円補助する制度を導入しましたが、この制度には想定を超える申し込みが殺到しています。 また、SNSや通信アプリを通じた闇バイトへの勧誘から青少年を守るため、「鳥取県青少年健全育成条例」の改正も行いました。 ここまでの村井先生のお話を伺うと、OPでその対応も可能のように思えますが、どうでしょうか?」
子どもたちへのOPを使った情報リテラシー教育の重要性

村井 純 OP組合 理事長:
「ネットの情報が社会に対して一定の影響力を持つなか、 偽情報かどうかの判断などをOPは技術的に抑制できます。 しかしながら、それも、県民の皆さんがOPを使いこなしていただいてこそです。 」

「わたしが大切だと考えるのは、未来の社会を支える子どもたちや高齢者の方々への 情報リテラシー向上を図っていくことです。県民の皆さんが、不確かな情報・フェイク情報等、不法サイトなどへの広告誘導、 詐欺的広告や闇バイト広告などに接触したときに
『この情報ソースはどこ?発信者は誰?』という信頼性判断のベーシックを学び、 OPを使って、その判断を行なっていただくのが普通になっていく、特に判断力の弱い小さな子どもたちには、 学校や自治体からのサポートだけでなくて、ご両親からのサポートも大切です。 」
対談の最後に

平井知事:
「村井先生、本日は、貴重なお時間をいただきましてありがとうございました。 おかげさまで、私自身も今後、どのように偽誤情報対策を行なっていくべきかを本日の対談を通じて学ぶことができました。 鳥取県としては、県民の皆様を対象とした、OPを利用した情報リテラシーの勉強会なども開催して、 鳥取県公式サイト『とりネット』へのOP搭載を意義深いものとしていきたく考えています。 また、鳥取県の取り組みを他県の知事にも共有して、全国の自治体のWebサイトへのOP導入を支援していきたいとも考えています。 今後の展開にご期待ください。村井先生、本日はありがとうございました。」

村井 純 OP組合 理事長:
「平井知事、こちらこそ対談の機会を設けていただき感謝申し上げます。 OP組合として、鳥取県でのOPへのお取組にご協力できることは、最大限、心がけてまいります。 ありがとうございました。」